『若おかみは小学生!』

©令丈ヒロ子・亜沙美・講談社/若おかみは小学生!製作委員会

 ようやく観に行くことができました、劇場版。先日終了したテレビシリーズも面白かったですけど、劇場版も想像以上に素晴らしかったです。あー、もっと早く観に行くべきでした。たぶん公開はもうすぐ終わってしまうので、もしもこれを読んでいただいて、関心を持たれた奇特な方は、なにはともあれ、最寄りの劇場にダッシュです! 間に合わなかったら、配信かレンタルで!

 劇場版はテレビシリーズとスタッフが違っていて、監督は元スタジオジブリで『茄子アンダルシア』を撮った高坂希太郎さん、脚本は吉田玲子さんです。

 冒頭のアバンからものすごい高密度な演出が炸裂しています。内容的にあまり詳細は書けないのですけど、予備知識のない人はいきなりのハードな展開に驚くと思います。原作やテレビ版を見て、内容を知っている人は、逆に知っているからこそ、ものすごい緊張感に襲われる冒頭です。え、それをやっちゃう? と。

 この劇場版、冒頭のシーンのほか、原作にない部分がかなりあるようです(原作は未読ですけどテレビ版がほぼ原作に忠実のようなので違いはだいたい分かりました)。そして、その原作にない部分の展開がなかなかにハードです。特に終盤のエピソードには度肝を抜かれました。これを物語に組み込むには、相当勇気がいったのではないかと思います。これ、果たして小学生が見て楽しめるのかなーと思ってしまうほどです。

 なので、大人でも十分楽しめる、といいますか、大人であればなおのこと心に響く内容になっています。それは、すみずみまで目が行き届いた、細やかな演出とそれを支える丁寧な作画があるからこそ。

 もちろん、重い内容を扱っていても、主人公のおっこをはじめ、キャラクター達は生き生きしていて、全体的に暗さは全く感じられません。おっこの前向きな性格はそのままなので、そこは安心して見ることができます。

 たった94分の作品ですけど、1年間の出来事がぎゅっと詰まっていて、本当にいろんな意味で高濃度、高密度な映画です。もっとヒットしてもいいのになー。

(追加)

 と、書いたのが二日前の10月14日。で、今日、10月16日、たまたまWebのニュースで<「今年一番泣いた」劇場版『若おかみは小学生!』溢れる感涙の声に復活上映も>という記事を目にしました。

 どうやら、公開中の劇場で高稼働率が続き、また、見た人の評判が口コミで広がっていることやクリエイターたちの絶賛の声があがっていることから、今週末より再上映や新規上映が始まっているとのこと。うん。確かに私が行った日も、結構入ってました。9割くらい埋まってた。しかも子供が一人もいないという……。別にいいんですけど。

 この動き、たぶん観た人は「当然だよね」と納得すると思います。まだ観てない人、もったいないよー。みんな、観に行ってー。

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