『宇宙より遠い場所』

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 2018年第1クール(1月~3月)という時期の作品にも関わらず、未だにその感動は色あせていません。何度も泣かされました。特に終盤の展開を思い出すと、今でも涙が出てきます。

 女の子4人が南極を目指すというオリジナルの企画でここまで面白いものを作れてしまう、日本のアニメーションってすごいと思います。

 とくにかく、脚本が素晴らしいです。花田十輝さん。第一話の導入からすごかった。物語の導入はかくあるべしというお手本のような脚本でした。その後、女の子4人のそれぞれの描き方も上手くて、彼女たちが育んでいく『友情』を素直に応援したくなっちゃいます。 そうなんです。この作品のテーマの一つは『友情』なんです。それも変化球無しのド直球の。でも、それがずばーんと来るんですよ。見てる人の心に。

 感動というものを押しつけがましく差し出してくる作品はたくさんあります。感動させるためにどういう人やエピソードやアイテムを配置すればいいか、そうやって作られた作品は、やっぱりそういう意図が透けて見えてしまいます。

 そういう作品はある種お手軽な感動をもたらしてくれます。でも、そんなものが長く残っていくとは思えない。需要があるわけですから、それを悪いとは言いませんけど。

 でも、この作品はテーマや登場人物や物語を丁寧に描いていくことで、結果的に自然と見る者の心を動かしているように見えます。もちろん、作り手はいろんな手を使っているんですけど、そこにはやっぱり作品のテーマ(単に切なさとか悲しみとかじゃない)をどうやってうまく伝えていけるかというものがベースにあるから、あざとくない。

 そのいろんな手のひとつ、これは本当に花田さんの脚本のすごさなんですけど、第一話から周到に張られた大きな伏線に触れないわけにはいきません。この伏線は第十二話で回収されるんですけど、ほんとすごいです。伏線ってどういうものかよくわかんない、という人はこれを見れば一目瞭然でしょう。

 ここまで見事な伏線回収は、『ニューシネマ・パラダイス』くらいしか思いつきません。いえ、すみません、たぶんほかにもあると思いますけど、今思いつきません。とにかく、トレナトーレ監督のあの超傑作映画に匹敵するくらいの技です。断言します。

 やばいです。思い出したらまた泣けてきました。

 ネット配信などで見ることができる人、お正月休みに一気見とか、どうでしょう。

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