番外編:劇場版『若おかみは小学生!』

©令丈ヒロ子・亜沙美・講談社/若おかみは小学生!製作委員会

 Best5はテレビアニメ限定なんですけど、どうしてもこの作品に触れたくて、番外編です!

 『若おかみは小学生』はもともと青い鳥文庫という小学生向けの小説が原作です。テレビアニメ化もされていて、2018年4月から9月まで全26話が放映されていました。2クールですけど15分番組です。このテレビアニメも、きっちりとした作りでとてもよかったです。

 さて、この劇場版ですけど、元スタジオ・ジブリの高坂希太郎さん、脚本は吉田玲子さんです。この組み合わせで面白くないわけがないんですけど、想像以上の素晴らしい映画でした。どうしてもっと話題にならなかったのか本当に不思議です。

 お話は、とある事情によって祖母の経営する温泉旅館の若女将になった主人公おっこが失敗しつつも、いろんな人々(幽霊含む)と出会いながら成長していくという、そこだけ見たらいかにも文部科学省が選定作品に選びそうな(実際、選定作品なんですけど)筋立てです。

 しかし。この作品、そんな甘っちょろいものではありません。これ、本当に小学生に見せちゃっていいのか? と思わず心配してしまいそうな、超絶シリアス展開が待っています。冒頭からびっくりするような展開なんですけど、原作を知っている者にとっては、この冒頭のシーン、ものすごい緊張感を強います。映画は、原作にはないシーンがたくさん盛り込まれていて、原作では描かれていない部分を補完しているのですけど、よくこんなこと考えたなーと思います。いい意味で。

 さらに、これも原作にはない映画オリジナルの展開ですけど、ラストで判明する事実と、それを受け止める主人公おっこちゃんの態度が、完全に小学生が消化できるレベルを超えていて、観ている方は呆然としてしまいます。ただ、そこに至るまでの演出があまりにも丁寧なので、違和感なく観れてしまうのがすごいです。

 吉田玲子んさんは昨年『リズと青い鳥』という、これまた日本アニメーション史に名前を刻む超傑作劇場作品の脚本を手掛けるなど、近年とんでもないレベルの仕事をされています。『けいおん!』の頃から、この人の脚本すごいなーと思ってましたけど、この作品、凄すぎます。

 というわけで、とんでもない傑作にもかかわらず、ひっそりと上映は終わってしまいましたけど、何かの機会があればぜひ見ていただきたいです。

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