『ヴァニタスの手記(カルテ)』 第四話

©望月淳/SQUARE ENIX・「ヴァニタスの手記」製作委員会

 今期アニメのなかで圧倒的なクオリティの高さを誇るこの作品、板村監督のセンスの良さが存分に発揮されていて、もうほんと幸せです。

ロングショットとクローズアップ

 今回の舞台は仮面舞踏会の会場ということで、ほとんどが宮殿内で進行します。まずロングの絵が素晴らしくいいです。第一話の飛空船内のシーンも天井の高い広い屋内の絵作りが印象的でしたけど、今回もむっちゃいいです。そして今回も、絵コンテは板村監督自ら描いてます。

 特にロングショットの美しさ。例えば、観客席へと続く廊下のカット、シャンデリアの上のヴァニタスをあおりで捉えるカットが印象的です。さらに、シャンデリアのシーンでは、ロングとアップのメリハリが効いていて魅せますし、逆に、吸血鬼たちからの攻撃を受けるヴァニタスをロングショットのまま捉え続けるのもいいです。こういう、ロングショットのままカットを割らずにアクションを捉え続けるカット、すごく好きなので、ここ、個人的にツボでした。

血を吸われるということ

 もうひとつ、今回印象的なシーンは、やはりなんといってもバルコニーでジャンヌに血を吸われる(吸わせる?)ヴァニタスのシーン。血を吸われることの快感がむちゃくちゃ上手く出てますよね。

 確かに、吸血という行為は性的なものを連想させますから、そういう意味合いで吸血鬼が描かれていることは珍しくはない、というか定番なのですけど、今作、作画と演出のレベルの高さによって、その表現が素晴らしくいいです。すごいですね。

 吸血鬼ものはすでに幅広く共通の認識がありますからフォーマットとして非常に分かりやすくてとっつきやすい反面、差別化するのが難しいというデメリットがあると思います。今作、少なくともアニメのほうは、作画と演出だけでもすでに大きな差別化が図られています。今後、ストーリーが進むにつれて、物語としての深度が増すことでの魅力の増加を期待したいです。

 まだ四話ですけど、すでに今年のベスト上位に食い込みそうな勢いです。引き続き、楽しみに追いかけたいと思います。

タイトルとURLをコピーしました