戦闘機、戦艦、獣、お米、刀……これすべて擬人化アニメの、擬人化の元になっている物たちです(お米って……)。たぶんほかにもいろいろとあるんでしょうけど、私はこれくらいしか知りません。いろんな場所で擬人化にまつわる企画がすすでいますね。擬人化はまだまだお金の匂いがプンプンする、ということでしょう(表現がアレですみません)。
擬人化
で、この作品は、タイトルを見ればわかるように、ウマです。競走馬の擬人化(すべて女の子)です。それも、実在している、または実在していた有名な競走馬を擬人化しています。つまり、登場するキャラクター達は、過去にJRAまたは地方競馬に在籍した実在の競走馬の名前が付けられているわけですね。競馬に詳しくなくても、誰でも一度は名前を聞いたことのある競走馬が、ばんばん出てきます。
私も競馬には詳しくなくて、かなり昔に少しやった程度です。三連単なんてまだなかった頃ですね。でも、特に競馬の知識がなくても問題なく楽しめるようになっています。もちろん、競馬に詳しい人が見たら、特に好きな競走馬がいたら、また違った楽しみ方もあるでしょうけど。
作品世界
舞台が競馬ですから、物語は当然、キャラクターたちの勝負が中心です。まず感じたのは、すごく真っ当な勝負の世界だなーということ。これ、昭和に作られていたら、ぜったい登場人物間での陰湿な足の引っ張り合いや、いじめや、妨害が出てきたと思います。でも、この作品ではそんなものは一切出てきません。みんないい子たちばかりです。
彼女たちが越えなければならないものは、自分自身の弱さであったり、過信であったり、故障であったり、純粋にライバル・強敵であったりと、すごくまともです。もちろん、それが悪いわけではなく、負の要素がなくても十分にドラマチックな展開を構築するとはできますし、実際、そうなっています。
走ることの魅力
アニメーションの醍醐味の一つに、絵が動く、という単純な、でも、とても根源的な要素があると思います。例えば、宮崎駿監督の映画に出てくる飛翔シーンもそのひとつ。空を飛んでいるという『絵』だけで、心が揺さぶられるときがあります。
人が走るシーンも、私はそれだけでぐっとくるときがあります。特に、女の子が走っているシーンは、ただその『女の子が走っている絵』だけで、なにか胸に迫るものがあります。ただ、アニメーションで人が走っている絵って、すごく難しそうです。私は技術的に詳しいわけではありませんけど、これまでたくさんみてきたアニメーションの中で、見ていて納得のいく走り(変な表現ですけど)ってなかなかないです。
最近だと、『ダーリン・イン・ザ・フランキス』の一話から六話までのエンディング、これ、主役の女の子が高校生の制服を着て疾走するカットがあるんですけど、動きが素晴らしいんですよ。嘘くさくもあざとくもなく、美しい。見とれてしまいます。絵コンテと演出が女性(たぶん)というのがいいですね。
で、この『ウマ娘』なんですけど、回によってばらつきはあるものの、やっぱりレースシーンは燃えます。だって、競走馬ですからね。トップスピード時速70キロ、平均でも60キロですよ。それくらいのスピードで女の子が走っている描写があるわけです。
あと、特に主人公のスペシャルウィークちゃんの体形が、なかなかどっしりとした感じで、でも可愛くて、見ていて好感度大です。競走馬ですからね、みなさん華奢じゃない感じがいいですね。
単純と言えば単純なお話ですけど、楽しめます。そして、この監督が『ヒナまつり』の監督と同じ人というのが、びっくりです。