『天狼 Sirius the Jaeger』 第九話~第十二話(終)

© Project SIRIUS/「天狼 Sirius the Jaeger」製作委員会

 やっぱり1クールで終了でした。なんかもったいない気がしますけど、一応(?)きれいにまとまっています。

落としどころ

 結局、物語の最重要アイテムである『シリウスの匣』が具体的にどのような力を持っているのかが最後まで謎のまま……。なので、このあと主人公のユーリが『シリウスの匣』を使って世界をどのように導いていくのか、それともいかないのか、が明確に示されてはいません。とりあえず、これまで敵だったヴァンパイアを救うために、彼らの元へ行こうとしている、そこで終わっています。

 この落としどころはなかなか微妙なラインです。時代設定としては、これから第二次世界大戦へ向けて大きく世界が悪い方向へ動いていこうとしているわけです。そんななか、『シリウスの匣』を使えば、異なった種族の争いをなくし共存することができるということだけが示唆されています。

受け手の想像力

 ヴァンパイアという、人間とは根本的に異なった種族とも共存できるのであれば、同じ人間同士の国家間の争いだって解決できる……。という意図をくみ取れなくはないですけど、そこまで描き切れているかというと微妙です。ただ、こういった時代設定などなど合わせて考えると、なんとなーく作り手の意図しようとしていることは分からないでもない、そんな感じです。

 あとは、見た者がそれぞれ想像してください、ということでしょうか。作品全体を通してのメッセージ性は感じられますし、この先の物語を想像する楽しさもあるということで、私としては、この落としどころのライン、ぎりぎりOKです。

 最後まで謎を謎のまま押し通してしまった力業はある意味すごいと思います。それも、舞台設定や時代設定など、細かな部分がしっかりと描かれているからでしょう。できればまた同じ世界観で続編的な作品も見てみたいですね。

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