『八月のシンデレラナイン』 第五話~第六話

©Akatsuki Inc./アニメ「八月のシンデレラナイン」製作委員会

 いきなりの初練習試合(もちろんボロ負けです)の第五話を経て、最新の第六話、この回なかなかよかったです。チームの中心人物である翼ちゃんと、その親友のともっちの関係性が描かれたこの回、その関係性が独特で、ちょっとぐっときました。

チームメイト

 野球経験者の翼ちゃんと、親友で野球初心者のともっち。ともっちは、上手くなりたいから翼ちゃんから厳しく指導してほしいのだけれど、翼ちゃんはついともっちを甘やかしてしまう。ともっちはそれが不満で、親友をやめると言い出してしまう……。

 野球漫画やそれを原作としたアニメはたくさんあります。で、そんなお話には、チームメイトやライバルをめぐっての定番の展開というものがあります。例えば、ときにぶつかったりして切磋琢磨しながら絆を深め、強くなっていく、みたいな。

 でも。未だかつてチームメイトに、厳しく指導してくれないんなら親友やめる! って言った登場人物はいたでしょうか。私はすべての野球漫画を読んだわけではありませんけど、たぶんいないでしょう。なぜなら、こんな展開があり得るのは女の子同士だけだからです。

名前のない関係性

 部活の内容は違いますけど、私は『響け!ユーフォニアム』を連想しました。あちらは吹奏楽部で、男子生徒も混じっていますけど、そこで描かれる女の子同士の関係性と、この回のふたりの関係性がとても似ていると感じたからです。

『響け!ユーフォニアム』に出てくる女の子たちの関係性も、この回の翼ちゃんとともっちの関係性も、どちらも名前が付けられない関係です。ただの友情でもない(特にこの『八月のシンデレラナイン』第六話では、親友とも違うと明言されています)、もちろん恋愛でもない、でも強く結びついている関係。

 この物語では恐らくそこまで触れられないでしょうけど、『響け!ユーフォニアム』のそれは、男女間の恋愛よりも強い絆であるかのように、意図的に描かれています。男女間の、特に高校生の男女間の幼く未成熟でふわふわとした恋愛なんかよりも、よっぽど強固で揺るぎないものとして描かれている。それがとても新しいと感じるし、興味深いです。

親友じゃない、でも戦友でもない

 強くなるためには、つい依存しあってしまう関係は捨てなきゃならないと一旦は結論付けてしまうふたりだけど、でもやっぱりそれは自分達の気持ちに反する、だから新しい関係を構築しようとして、ふたりは最後にこういう結論に達します。

「私たちは親友じゃない、でも戦友でもない。もっともっと成長して最高にかっこいい私たちになるんだ」

 戦友、というのは、前回の練習試合で対戦した高校の選手、神宮寺さんが言ったもので、強くなるには親友なんかではなくて、戦友じゃなければならない、という言葉から。

 このラストのセリフ、すごくいいです。既存の関係性に収まらないものを作り上げていく展開、すごくかっこいい。

 このアニメ、脚本を複数の人間がシナリオチームとして書いていて、たぶんそれが今のところ有効に機能している感じです。チームの中に、女性が二名いるのも大きいのでは。作画がちょっとアレですけど、シナリオが良ければ大丈夫。今期の中ではかなり地味な存在ですけど、期待が高まっています。

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