『SSSS.DYNAZENON』 第六話

©円谷プロ ©2021 TRIGGER・雨宮哲/「DYNAZENON」製作委員会

 やっぱり大きく動きましたね、第六話。脚本、演出ともにすごいことになっています。今回、主要登場人物四人の心が大きく揺れ動くんですけど、その四人分の心の動きがこの一話の中に無理なく盛り込まれているんですよね。しかもその心の動きが、すごくモヤモヤとした微妙な感じで、その表現がまた無茶苦茶うまいです。この作品、ちょっと抜きんでています。

暦くんのモヤモヤ

 一応書いておくと、まず、暦くん。人妻稲本さんとまた飲んでいるところに旦那出現で動揺します。稲本さん、何がしたいんでしょう。でも、こういう人、います。たぶん彼女自身はあまり深く考えていない気がします。無自覚天然恋愛体質、的な。こういう人はやっかいです。で、ちせちゃんはたぶん、そういうところまで敏感に嗅ぎとっている感じがします。そしてまさかの怪獣優性思想ムジナさんとサシで飲み。暦くん、モテモテです。でも結局、暦くんの甲斐性のなさが問題なんですよね。暦くんの出方次第では、稲本さんは旦那を呼ばなかったかもしれないし、ムジナさんにダイナゼノンの「切り身」を盗まれなかったかもしれない。普通、いい印象を持っていない人と飲みに行こうとはしないですよね。ただ、暦くんは無職で、金銭的な甲斐性の無さはどうしようもないわけですから、彼の気持ちもわからなくはないですけど。

 ところで今気づきましたけど、暦くんは生活費とかどうしてるんでしょう。それってもしかして稲本さんが中学時代に見つけた鞄の中身(お金の可能性大)と関係があるのかもとか、思ってしまいました。これはいずれ判明するでしょう。

ちせちゃんのモヤモヤ

 そんな暦くんの心の中を、たぶん本人よりも明確に感じ取っているのがちせちゃんです。暦くんのことが好きなんですね。けっこうな年の差ですけど。ところで、どうしてちせちゃんは暦くんのことをセンパイって呼んでるんでしょうね。あ、暦くん、さらにモテモテじゃないですか。

夢芽ちゃんのモヤモヤ

 夢芽ちゃんは前回のラストでお姉ちゃんの死が自殺、それもいじめが原因だった可能性があることを知って、新しい動画を入手。この動画がまたものすごくリアル。すごいです。よくこの微妙な感じを出せましたよね。はっきりと、ひどいいじめが描かれているわけではないんですけど、見ていていやーな気持ちになります。じゃあこれ、いじめかと言われると微妙だと答える人が大半でしょうけれど、問題はそれを受けている本人がどう感じているかなのです。

 その動画をどう受け止めていいのか悩む夢芽ちゃんをよそに、クラスメイトの女子と楽しそうな蓬くん。で、ついつい蓬くんに、「蓬くんには、そんなに関係ないことだよ」って言っちゃう。この「そんなに関係ないこと」っていうセリフまわしが絶妙です。ぜんぜん関係なくもないっていうことですよね。夢芽ちゃんのどっちつかずの気持ちが表れてます。でも、そんなことには気が付かない、高校一年生男子の蓬くんです。うわべだけで、すんごくペラく見えちゃう感じも、シズムくんとの対比で際立たせていて、うまいですよね。

 この屋上のシーン、シズムくんは夢芽ちゃんに、「南さんみたいに強い人でも」って言ってるんですよね。ここ、すごく気になるセリフでした。

蓬くんのモヤモヤ

 で、そんなシズムくんと夢芽ちゃんとがどういう話をしていたのか、気になる蓬くん。そういうところは一応敏感なんですね、高校一年生男子。四人の中では一番お気楽なモヤモヤですけど、高校一年生男子ですからね。

 と、四人それぞれがなんとも言えないモヤモヤを抱えたまま戦闘へ。案の定バラバラで、ピンチに陥るわけなのですけど、そこへ謎の巨人が登場。どこかで見たことが……。次回が待ち遠しいです。

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