謎の巨人、やっぱり『SSSS.GRIDMAN』のグリッドナイトでしたね。で、その正体であるアンチくん、そして2代目アノシラスちゃんが成長した姿で登場。『SSSS.GRIDMAN』を見ていた人にはたまらない展開になってます。ただ、現時点ではいろんな謎が謎のままなので、『SSSS.GRIDMAN』未見の人もたぶん問題なく楽しめるはず。『SSSS.GRIDMAN』とのつながりは考察する人たちにまかせて、第七話の感想、いきます。
モヤモヤの解消:夢芽ちゃんと蓬くん
前回、なんやかんやありまして、主要登場人物四人がそれぞれモヤモヤを抱えてテンションだだ下がり状態なわけですけど、今回それが解消されていきます。まずは、夢芽ちゃんと蓬くん。前半は相変わらず、蓬くんの問いかけにもスルーする夢芽ちゃんです。ひどい。でも、海ほたるで夜中、夢芽ちゃんの話を聞きながら泣いちゃう蓬くんを見て、また距離が縮まります。
んー。これ、微妙です。もしも夢芽ちゃんがもうちょっと大人だったら、なんであんたが泣くのよ泣きたいのはこっちだよ、って、すっごく冷めちゃうと思うのです。人って他人が泣いているのを見ると妙に冷静になりますから。夢芽ちゃん、若いし、やさしいですね。はたして、そのあたりどこまで考慮して脚本が書かれているのか分かりませんけど、もしかしたら、前回シズムくんが言っていた「南さんみたいに強い人でも」っていうのはこういうことなのかもしれないです。
結局、ふたりでもう少しお姉さんの死の真相を探ることで合意。というわけで、若い二人はあっさりとモヤモヤ脱出です。いいですね、若いって。
モヤモヤの解消:ちせちゃんと暦くん
もう若くはない暦くんの場合は、それほどあっさりとはいかず、それなりの葛藤を乗り越えなければなりません。三十三歳ですから。
まんざらでもないかもと思っていたけどまんざらでもないかどうか結局のところよく分からない中学時代の同級生で今は人妻の稲本さんの旦那さんが、戦闘に巻き込まれてけがをしているのを発見する暦くん。
ちょっと話が逸れますけど、前回出てきたこの旦那さんのキャラの描き方がすごくうまい。たぶん、リアルな世界ではフツーの人です。お店やっているって言ってましたよね。確かフットサルやってるとも。別になんてことない、一般人です。でも、この作品のなかではものすごい違和感。それはたぶん、アニメの登場人物には決していないキャラだからでしょう。この旦那さんを見ていると、一般的なアニメの世界がいかに特殊かということが否が応でも認識させられます。前回、この旦那さんが出てくるシーンを見るのが辛いと感じたアニメファンは多いのではないでしょうか。
これと似た感覚をもたらしたキャラがもう一人いて、蓬くんがお母さんに付き合わされて食事をしていた上条さん、この人も同じような異物感を感じました。作り手がこのようなキャラクターの造形にどのような意図を込めているのかは分かりませんけど、すごく興味深いです。
当然のことながら、ニートで半ば引きこもり状態の暦くんにとって、稲本さんの旦那さんは現実と自分のふがいなさを突き付けられる人なわけで、名前の呼び間違いがなくてもおそらくもっとも苦手とする人ですよね。でも、その人を暦くんは助ける。それって、いわば自分との闘いですよね。でも、それに打ち勝って、ふっきれて、稲本さんからの電話も途中で切っちゃって、アメをガリッとかじる、そんな暦くんを嬉しそうに見るちせちゃん。ということで、こちらもモヤモヤ解消です。
ところで、今回初めて戦闘で傷ついた人がいるという描写が出てきました。その割には、世の中大変なことが起こっているという場面が出てこないんですよね。ダイナゼノン自身もビル壊しまくってるし。でも稲本さんの旦那さんが怪我をしていて、救助活動をしているっぽい人がいたので、たぶん、大変なことが起こり続けている世界、という認識でいいんですよね。あっという間に折り返しまで来てしまいました。『SSSS.GRIDMAN』では、本当にこれちゃんと最終話でまとまるのかなと心配でしたけど、見事なラストでした。おそらく今作もぎりぎりまで詰め込んでくるのでしょう。しかも今回はいじめと自殺というヘヴィなテーマを扱っています。とにかく楽しみです。