『銀河英雄伝説 Die Neue These』 第四話

©田中芳樹/松竹・Production I.G

 問題の(?)ヤンのサイドです。冒頭はヤンの子供時代ですね(むっちゃ可愛い)。

 本編はいきなりオリジナルシーン(のはず、たぶん)。大学の図書館でヤンとジェシカが出会い、そこにヤンの旧友のラップ(アスターテで戦死です……)が現れて、しばしこの三人のやりとりが描かれます。そこで、冒頭のヤンと父親の会話の続き、ルドルフという独裁者を出してしまった民衆の愚かさなどが、うまく盛り込まれています。

ヤン・ウェンリー

 原作や石黒監督版と比べてもっとも違うのが、やはりヤンの描き方だと思います。原作や石黒監督版から受けるヤンへの印象は、ひとことで言うと、『若くして既に老成してる』です。若いくせに、諦念っていうか、人間ってどうしよーもないよなーって思っているところがある。皮肉屋で決して熱くならない。でも頭は切れるし、有能。だから引っ張り出されるし、担がれる。

 でも、今作のヤンはもう少し年相応な感じがします。石黒監督版よりも、精神的に前向きだし、若い。この回で印象的だったのはジェシカのセリフ「あなたは何を見ているの? 過去ばかり見つめて。他になにかしたくない? 私は未来を見つめていたい」です。

ジェシカ・エドワーズ

 このセリフは、単にその後のジェシカ・エドワーズの行動の布石なのか、若きヤンの心に刻まれて今後の彼に何がしかの影響を与える言葉なのか、それはまだわかりません。ただこのセリフ、このあと二回もヤンの回想という形で出てくるんですよね。このセリフに象徴されるような、ヤンの心の動き、それも過去ではなく未来に向けた心の動きみたいなものが、これまでのヤンとは違うDie Neue Theseのヤンの特色の一つではないかと思ったりしました(まあ、わかんないですけどね)。

 あと、たぶん本筋とはあまり関係ないかもですけど、ちょくちょく出てくるロシアテイストが気になります。一話の冒頭での雪のシーンとか、この回の冒頭の子供のヤンの隣にあったマトリョーシカとか。優れた作品であればあるほど、意味もないものは描かれない(はず)なので、それぞれにちゃんと意味があると思うのですけど。気になります。

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