『ひとりぼっちの○○生活』 第一話

©2018 カツヲ/KADOKAWA/ひとりぼっちの製作委員会

 年度末のバタバタも落ち着いて、ようやく、ようやく春アニメを見始めた今日この頃、例によって気になるアニメの感想を独断と偏見に基づいて綴っていこうかなーと思います。さて、まずはこちら『ひとりぼっちの○○生活』。原作は四コマ漫画ですね。でも、アニメ第一話を見た時点では漫画は未読です。

花田さん脚本

 私はその内容に関わらず、手掛けた作品を必ず見るようにしている脚本家さんが何人かいます。そのうちの一人が花田十輝さん。この作品も花田さんがシリーズ構成・脚本ということで、予備知識ゼロで見てみました。

 花田さんと言えば、超傑作『宇宙よりも遠い場所』が記憶に新しいですけど、直近だと『やがて君になる』ですね。ただ、『やがて君になる』はほとんど原作をいじっておらず、私としてはせっかく花田さんを起用しているのに……と、ちょっと不満でした。

ありふれた設定でも

 で、この『ひとりぼっちの○○生活』ですけど、友達を作るのが苦手な超内気な女の子、一人ぼっち(これ、名前です)ちゃんが主人公。不器用だけど一直線な彼女が中学校に入学して、友達を作っていくというお話。

 これだけ聞くと、新味が全くない、ありふれた設定、ありふれたお話です。最初、これほんとに15分じゃなくて30分なの? と確認しちゃいました。これで1クールも大丈夫なんでしょうか、と。

 でも、杞憂でした。面白い。さすがです。話の転がし方、エピソードのつなげ方がうまいです。こういうお話って、主人公の特徴が強調されすぎて、どうしてもわざとらしくなりがちなのですけど、それが全くない。最初の自己紹介で緊張しすぎてゲロ吐いちゃうような子なんですけどね。

ラストシーン!

 ひとつひとつ見ていくとむっちゃ長くなるのでやめますけど、第一話の最大のキモはラストです。なんのかんのあって前の席の砂尾さんと友達になれたぼっちちゃんが、彼女と二人で下校するシーン。

 信号待ちで、ふと後ろを振り返ったぼっちちゃんは、お店のウィンドウに映っている自分と砂尾さんの姿を目にします。ここで彼女は、自分たちの状況――友達同士連れ添って下校している二人の女の子の姿――を改めて客観的に認識するわけですね。それで、実感するわけです。ああ、私、ほんとにこうやって友達と下校してるんだって(当然そんな無粋なモノローグは入りません)。

 そして、隣の砂尾さんにこう言います。「あの、私、友達ができました」

 うまい。うますぎます。あまりにもうますぎて、たぶん多くの人はスルーしちゃうでしょうけど、すみません、私はここで大泣きしちゃいました。こんなにもありふれた題材で、こんなにもありふれた展開なのに、ちょっとした切り口ひとつでこれほどまでに素晴らしいシーンを作ることができるなんて。

さすがです、花田さん!

 私は問いたいんですけど、主人公が、不安でいっぱいの新しい学校で初めて友達ができた、その嬉しさをかみしめるシーンを書かなきゃならないとなったとき、こんな場面を思いつけるでしょうか。

 いや。ちょっと待てよ。これ、漫画が原作だったよね。ということは、もしかしたらこのシーン、原作にあるのかも。と思って、本屋に走りました。買いました、原作の第一巻。このシーン、原作にはありませんでした。

 というわけで、むっちゃテキトーに言いますけど、今期の脚色賞はこの作品に確定です。

 あと、そのラストシーンの砂尾さんとの会話と音楽のタイミングもまた素晴らしくて、この監督さん、安斎剛文さんは初めてお名前知りましたけど、頭に刻み込みましたよ。

 うわ。むっちゃ長くなっちゃった。

 もしかしたら、この作品、今期のなかではあまり目立たない存在なのかもしれませんけど、私的には期待大です。二話以降も楽しみです!

タイトルとURLをコピーしました