『BEATLESS』 第一話~第十七話

©2018 長谷敏司・redjuice・monochrom/KADOKAWA/BEATLESS製作委員会

 たぶん、世界的に見ても、ここまで最先端のハードSF的設定や考察を盛り込んだアニメーションはないのではないかと思います。「アナログハック」なんていう言葉や概念を登場させているアニメなんて、恐らくほかにはないでしょう。

 AIとは何か、という問題についてとてもリアルに考えさせられるアニメです。

原作

 原作は長谷敏司さんのSF小説です。長谷敏司さんといえば、十年ほど前に書かれた小説『あなたのための物語』が評判になりました。その小説も最新のAIをめぐる考察が盛り込まれていて、非常に興味深い内容でした。ただ、好きかと言われると、かなり微妙です。少なくとも、私は小説として面白いとは思えませんでした。

 この『BEATLESS』の原作は読んでいませんので、どこまで原作に忠実に作られているかはわかりません。ただ、やっぱりこのアニメも、前述の小説と同じく、扱ってるテーマは最先端で非常に興味深い、いろいろと考えさせる内容になっているのですけど、では面白いかどうかというと、はっきり言って、かなり微妙です。

テーマの先進性と作品としての面白さ

 扱っているテーマがどれほど新しくて、これからの私たちの生活にとっても重要なものであったとしても、やっぱり作品の面白さとは別物なんですよね。それがすごく勿体ないです。具体的に言いますと……正直に言っちゃいますけど、いろいろとダサいです。例えば、作品中に、AIがある目的のためにファッションモデルをすることになるんですけど、それがなんとも……。アニメーションですからね、限界はあるとは思いますけど、もう少しキャラクターなどのデザイン面でスタイリッシュさがあれば、かなり印象も変わっていると思うのです。

 とは言え、テーマ自体は最も先端的なもので、私たちがこれから直面するかもしれない状況が、かなりリアルに想定されている部分もあります。これを見て、いろいろと考察するのも楽しいのではないかと思います。一見の価値はある……かどうかはかなり微妙ですけど。

 あと、総集編が異様に多い(なんと、これまでで既に5回もやってる)というのが、見ている者を不安にさせて、なかなかスリリングです(絵のクオリティはそれほどでもないのに、なんで?)。

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