『どろろ』 第一話~第十二話

どろろ ©手塚プロダクション/ツインエンジン

 原作は言わずと知れた手塚治虫先生の漫画ですね。なぜ今『どろろ』かというと、どうやら今年は手塚治虫生誕九十周年みたいです。2クールなので、今期は前半十二話まで。

 二度目のアニメ化ですね。一度目のアニメ化は1969年。かなり時間が経っています。さすがにリアルタイムでは見ていませんけど、主題歌は有名だし、一度見てみたいなーと思ってました。で、最近ようやく見たんですけど……すごいです。完全に脱線してしまうので、オールタイムフェイバリットの方で書きます。

豪華スタッフ

 新作の方は、監督が古橋一浩さん、脚本が小林靖子さんという、超豪華な布陣です。古橋監督は、私的には『るろうに剣心』の超絶演出が忘れられないのですけど、これまた脱線してしまうので、オールタイムの方に書いてます。小林さんは最近だと、なんといっても『ジョジョ』と『進撃の巨人』とですよね(どっちも濃いなー)。

 戦国時代、父親の野望のために生まれながらにして四十八の魔物に体の四十八か所の部位(このアニメでは十二)を奪われた状態で生まれてきた百鬼丸という少年が、魔物を倒しながらそれを取り返していくというのが大筋のストーリー。

原作と今作

 こんなことよく考えたなーと思います。さすがは漫画の神様。といいますか、さすがは医学部出身。奪われたものを取り戻すというのは基本的な物語の構造のひとつですけど、それが自分の体というのがある種神話めいていて、それだけでもう……ってまた話が逸れていきますのでこのへんで。

 で、今回の新アニメ版なんですけど、なかなかにヘヴィです。特に第五話と第六話。つらい。つらかった。でもこれは褒め言葉です。旧アニメ版や原作ではぼかしていた部分を真っ向勝負で描いてます。リアルにやろうと思えばこうなるのは当然です。ただ、果たしてこのリアル描写重視のスタンスが最終的にこの作品のテーマと合致しているのか、そこはまだ分かりません。

 このお話は、最後どのような着地を見せるのかが重要だと思います。第六話で、一応ハッピーエンドへの布石みたいなものは得られていますけど、先はまだ読めません。

もやもやも……

 作画演出共に高水準ですけど、一点だけ気になる点が。第六話の時点で百鬼丸はようやく聴覚と声を取り戻したところです。そんな彼が、第六話のラストで遭遇した出来事をどの程度理解しているのかが疑問でした。彼の反応から考えると、何が起こったのかはちゃんと理解しているのでしょうけど、見ている私たちは彼の感覚を共有することができないので、感情移入ができないのです。どろろというキャラクターがいるので、そこは担保できるんですけど、ちょっともやもやしたものが残ります。

 ただ、この時点で百鬼丸の感覚が通常に戻っていたら、また違った展開になるでしょうから、ストーリー構成上なかなか判断が難しいのでしょうけど。

 昨今のテレビアニメには珍しい、深いテーマ性を内包した娯楽作品になりうる素材なので、今後も期待しつつ見続けたいと思います。

 水樹奈々さんの演技が素晴らしかったです。

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