『上野さんは不器用』 第一話~第十二話(終)

© tugeneko・白泉社/上野さんは不器用製作委員会

 おもしろかったです、これ。15分番組なので、気軽にさらっと見れますし。でも、実はこの作品、内容はなかなか濃くて、一筋縄ではいかないものがあります。

 中学校の科学部部長の上野さんが、思いを寄せている田中君に告白するためにいろんな発明品を使ってアプローチをするというもの。でも田中君は上野さんの気持ちにまったく気づくことなく、あまつさえ、一般的な男子中学生らしい反応すらしてくれないという態度でまったく進展しないというお話。上野さんの発明(微エロに寄せてきます)がとんでもなく、また、彼女の微エロ攻勢にも田中君はまったく動じないというパターンが見ていて飽きません。

えすとえむと

 で、どこが濃いのかというと、これ基本的に羞恥プレイなんですよね。さらに言っちゃうと、羞恥プレイをベースにした精神的なSMですよね。こんなことを言うと誤解されちゃいそうですけど、作品自体はまったくエロいことにはなっていません。SMに性行為は必要条件ではないですし、SMって当事者間の関係性をめぐる高度な思考遊戯だと思うので。

 だって、いきなり最初のお話が、女の子の尿(一応ろ過して飲める状態になっているけどそういう問題ではないですよね)を飲むという内容ですよ。どんだけマニアックなんですか。というか、よくこんなこと思いついたなーと感心しきりです。

確信犯的?

 あと、これは自分でも深読みしすぎだと思ってるんですけど、田中君って、もしかしたら全部わかったうえでしらばっくれてるんじゃないの? って思っちゃうんですよね。私は途中からもう完全に田中君はそういうスタンスでいるという脳内補正をしながら見ています。

 もし仮にそうだとすると、田中君は相当なドSか、一周まわって超ドMか、さらに一周まわって超超ドSか……。ともかく、そうやって見るとさらにまた別の味わいがあっていい感じです。むふふふ。もちろん、素直に見ても楽しめますけど。

見られる

 あと、上野さんと田中君のほかに山下さんという女の子の部員がいるのですけど、この子の役割も重要です。こういうプレ……ええと、お話には観測者が必要ですから。見られるということもまた欠かせない要素です。

 とはいえ、終始明るいノリですので、あははははーと大笑いしながら見れますし、いろいろと深読みや妄想もできちゃうという、懐の広い作品です。

 最後まで安定した面白さでした。あと、田中君役の田中あいみさんがうまいな~と。楽しかったです。

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