『亜人(デミ)ちゃんは語りたい』

©ペトス・講談社/「亜人ちゃんは語りたい」製作委員会

 この作品も漫画が原作ですね。私は原作は1話しか読んでいませんので、純粋にアニメだけの感想となります。

 ――多様性。このアニメを見て真っ先に思ったことがこの言葉です。最近では「ダイバーシティ」という言葉でもよく表現されていますよね。今後、企業が積極的に取り組まなければならない課題の一つとして、ダイバーシティ(多様な人材を積極的に活用すること)の問題は必ず取り上げられます。特に、これから労働力人口が減少していく日本では、採用する人材の多様性の問題は避けて通れなくなっていくと思います。

 この作品は、吸血鬼、デュラハン、サキュバス、雪女といった亜人(デミヒューマン)の存在が認められ、(亜人ではない)人々と共存して生活している世界、という設定です。舞台はとある高校。そこには数は少ないですが、亜人の生徒や教師がいて、特殊な生態を持つ亜人たちと亜人ではない人々との関りを描くというもの。

 亜人は少数派、マイノリティです。普通の人が持っていない性質のため、様々な苦労や周囲の誤解などがあります。そのような状況に対して、どうやって折り合いをつけていくのか、そういった部分がとても細やかに描かれていて、好感の持てる作りとなっています。

 作品がどこまで社会問題としてのマイノリティや多様性を意識して作られているのかは分かりません。ただ、自分とは性質の異なった存在を、ただ単に自分とは違うからという理由で頭から否定したり、壁を作ったりすることなく、まずはその存在を理解しようと努めることはとても大事なことだと、この作品を見て改めて考えさせられました。

 なんかちょっと教科書的な感想になってしまいましたけど、作品自体は可愛いデミちゃんたちを眺めているだけで楽しいので、気楽に見ていただけるのではないかと思います。

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